★ マクネマー検定 ★

 16 マクネマー検定について  伊勢一男  99/01/19 (火) 18:53
  43 Re: マクネマー検定について  青木繁伸  99/02/05 (金) 14:09
  17 Re: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/19 (火) 22:53
   20 Re^2: マクネマー検定について  伊勢一男  99/01/20 (水) 14:06
    22 Re^3: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/21 (木) 10:42
    21 Re^3: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/20 (水) 23:17
     23 Re^4: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/21 (木) 10:52
      24 Re^5: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/21 (木) 10:58
       25 Re^6: マクネマー検定について  伊勢一男  99/01/21 (木) 15:13


16. マクネマー検定について  伊勢一男  99/01/19 (火) 18:53
 「統計学自習ノート」でマクネマー検定の方法を知りました.最近読んだ,ある統計ソフトの参考書に下記のマクネマー検定例がありました.これは正しい利用方法なのでしょうか,御教授ください.
 データ:無作為に200人を抽出して携帯電話とポケベルについて所有の有無を調査した.両方とも持っている者80人,ポケベルのみ持っている者40人,携帯電話のみ持っている者30人,両方とも持っていない者50人であった.
 帰無仮説:(携帯電話を持っている人の母比率)=(ポケベルを持っている人の母比率)
 計算と結果: X2=(|40-30|-1)^2/(40+30)=1.157 「対応があるデータ」なのでマクネマー検定を適用した.その結果,帰無仮説は棄却されない.

 自習ノートの例とはかなり異なる性格のデータ例だと思うのですが,いかがでしょうか.

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43. Re: マクネマー検定について  青木繁伸  99/02/05 (金) 14:09
> 最近読んだ,ある統計ソフトの参考書に下記のマクネマー検定例がありました.

内田治「すぐわかるSPSSによるアンケートの調査・集計・解析」東京図書
ですね。昨日,別の筋から判明しました。(^_^)

この本の分割表の解析(カイ二乗検定)は,群の分布の差の場合だけを取り上げている(独立性の検定として取り上げていない)ので,微妙な区別が付いていないのですね。

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17. Re: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/19 (火) 22:53
> ある統計ソフトの参考書に下記のマクネマー検定例がありました.これは正しい利用方法なのでしょうか
> データ:無作為に200人を抽出して携帯電話とポケベルについて所有の有無を調査した.両方とも持っている者80人,ポケベルのみ持っている者40人,携帯電話のみ持っている者30人,両方とも持っていない者50人であった.
> 帰無仮説:(携帯電話を持っている人の母比率)=(ポケベルを持っている人の母比率)
> 計算と結果: X2=(|40-30|-1)^2/(40+30)=1.157 「対応があるデータ」なのでマクネマー検定を適用した.その結果,帰無仮説は棄却されない.

同じ対象者について調査しているので対応のあるデータと見ているのでしょうね。
これはかなり微妙な問題を含んでいます。

連続変数の場合の例を挙げてみましょう。対応のあるデータと見た方が良いのはどれになるでしょう。

100人の対象者のそれぞれに対して以下のような測定をした。
1:二ヶ月間の筋力トレーニングの前後で,背筋力を測定した。差はあるだろうか?
2:右手と左手の握力を測定した。差はあるだろうか?
3:上腕部の皮下脂肪の厚さと腹部の皮下脂肪の差を測定した。差はあるだろうか。

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20. Re^2: マクネマー検定について  伊勢一男  99/01/20 (水) 14:06
> 連続変数の場合の例を挙げてみましょう。対応のあるデータと見た方が良いのはどれになるでしょう。
>
> 100人の対象者のそれぞれに対して以下のような測定をした。
> 1:二ヶ月間の筋力トレーニングの前後で,背筋力を測定した。差はあるだろうか?
> 2:右手と左手の握力を測定した。差はあるだろうか?
> 3:上腕部の皮下脂肪の厚さと腹部の皮下脂肪の差を測定した。差はあるだろうか。

 早速のご回答をありがとうございました.

 さて,上記については,1のみが対応のあるデータであり,2と3は各人について2種類の観察値(変数)をとり相関関係などを調べたい場合に相当すると思います.

 先のデータ例の場合は,マクネマー検定ではなく,下記のように分析したらどうかと思いますが,いかがでしょうか.
(1)携帯とポケベルの有無に関する独立性の検定を行う.→ 0.1%水準で有意.
(2)携帯所有率とポケベル所有率について比率の差の検定を行う.→ 5%水準で有意差なし.

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22. Re^3: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/21 (木) 10:42
>  先のデータ例の場合は,マクネマー検定ではなく,下記のように分析したらどうかと思いますが,いかがでしょうか.
> (1)携帯とポケベルの有無に関する独立性の検定を行う.→ 0.1%水準で有意.
> (2)携帯所有率とポケベル所有率について比率の差の検定を行う.→ 5%水準で有意差なし.

前のコメントで,比率の差の検定はできないと書きましたが,若干の補足をします。
携帯所有率=110/200とポケベル所有率=120/200 の比率の差の検定はできないという意味です。
       携帯電話あり 携帯電話なし 合計
ポケベルあり   80     40   120
ポケベルなし   30     50    80
合計      110     90   200

「ポケベルのあり・なしの二群において,携帯電話の所持率が異なるかどうか」という比率の差の検定はできます(80/120 と 30/80 の比較)。
これは2×2分割表の独立性の検定と等価です(p 値は同じになる)

続く...

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21. Re^3: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/20 (水) 23:17
>  さて,上記については,1のみが対応のあるデータであり,2と3は各人について2種類の観察値(変数)をとり相関関係などを調べたい場合に相当すると思います.

その通りです。3の次には,
4:身長と体重を測定した。これから何がわかるか?
が続くと思い,この場合は誰もが,「相関関係を調べるのだな」とわかるはずです。

>  先のデータ例の場合は,マクネマー検定ではなく,下記のように分析したらどうかと思いますが,いかがでしょうか.
> (1)携帯とポケベルの有無に関する独立性の検定を行う.
> (2)携帯所有率とポケベル所有率について比率の差の検定を行う.

(1)が妥当だと思います。
(2)はやはり不適当だと思います。比率の差の検定は,独立2標本の場合だと思いますから。

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23. Re^4: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/21 (木) 10:52
> > (1)携帯とポケベルの有無に関する独立性の検定を行う.

> (1)が妥当だと思います。

ここで,反論があるかもしれません。

「目的はあくまでも,携帯所持率とポケベル所持率の差であるから,独立性の検定はその目的を達していない」

その通り!

例題の場合に取るべき検定手法は,「二項検定」(母比率の検定,適合度の検定も同じ)だと思います。
すなわち,問題が「携帯かポケベルかどちらかしか持たない場合には,どちらが持たれるか」ということになります。

ポケベルあり・携帯なし 40人 … a
ポケベルなし・携帯あり 30人 … b
合計          70人

帰無仮説は,a=b です。母比率の検定でいえば,π = 0.5
適合度の検定をカイ二乗分布で近似する場合には,結果的にはカイ二乗値はマクネマー検定によるものと一致します。
ではこの場合の適合度検定は,「マクネマー検定」なのか?
たぶん,答えは「いいえ」でしょう。
「対応のある比率の差の検定」という限定されたものを「マクネマー検定」と呼ぶという,言葉上の意味の違いだけですが。

続く...

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24. Re^5: マクネマー検定について  青木繁伸  99/01/21 (木) 10:58
> ポケベルあり・携帯なし 40人 … a
> ポケベルなし・携帯あり 30人 … b
> 合計          70人

に対して適合度の検定(π = 0.5)を行うのとマクネマー検定の場合ではデータ収集時にも違いがあると思います。

マクネマー検定では全体で200人のデータを集めて,あとで2×2分割表にまとめます。
適合度の検定では,標本はフルイにかけられると思います。母集団が違うと言っても良いでしょう。すなわち,携帯かポケベルかどちらか「だけ」を持っているひとが母集団を構成します。例では,40+30=70 人のデータしか集めないことに相当します(標本は母集団から選ばれるから)。
この70人が均等に2群に分けられるかどうかの検定が適合度の検定になるのだと思います。(どちらかしか持たないなら,どちらが持たれるか)。

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25. Re^6: マクネマー検定について  伊勢一男  99/01/21 (木) 15:13
 丁寧な説明をありがとうございます.もやもやしていた私の頭の中もだんだん整理されてきたような気がします.

 この検定例について最初に私が考えていたことは下記のとおりです.

 マクネマー検定の帰無仮説:b=c.P(A)=(a+c)/n,P(B)=(a+b)/nのとき,P(A)=P(B)ならば(a+c)/n=(a+b)/nとなり,両辺を簡単にするとb=cとなります.したがって,このようなデータについて「P(A)=P(B)」を検定することは「b=c」を検定することと同じであるからマクネマー検定の利用が可能である,という説明が成り立つのかと最初は考えました.

 ところが,データ例のP(A)とP(B)を変えないように模擬データを作成したところ,明らかに矛盾する例が出てきました.a=105, b=15, c=5, d=75と仮定すると,P(A)=(105+5)/200=110/200, P(B)=(105+15)=120/200 となり,P(A)とP(B)は最初の例と同じです.しかし,マクネマー検定の結果は5%水準で有意になります.このデータ例が出てきてから混乱してしまいました。

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