十分性     Last modified: May 16, 2002

 母数 $\theta$ を持つ母集団から,大きさ $n$ の標本 $X_{1}, X_{2}, \dots , X_{n}$ が抽出されたとする。

 この標本について統計量 $T_{n} = T( X_{1}, X_{2}, \dots , X_{n} )$ を考える。

 次式が成り立つとき,母数 $\theta$ に関する情報は $f_{1}(X_{1}, X_{2}, \dots , X_{n})$ には含まれておらず,$T_{n}$ を通してのみ与えられることになる。

\[ f(X_1, X_2, \dots, X_n\ |\ \theta) = f_1(X_1, X_2, \dots, X_n)\ f_2(T_n\ |\ \theta) \]  このとき,$T_{n}$ を 十分統計量 と呼ぶ。

 例えば,母平均 $\mu$,母分散 1 の正規分布 $\mathcal{N}(\mu,1)$ に従う母集団から $n$ 標本をとり,$\mu$ を $\bar{X}$ で推定するとき,$\bar{X}$ は母数 $\theta\ (\; = \mu )$ に関する十分統計量となる。

\[ \begin{align*} f(X_1, X_2, \dots, X_n\ |\ \theta) &= \frac{1}{(2\pi)^{n/2}}\exp\left \{-\frac{1}{2}\sum_{i=1}^n \left (X_i-\theta \right )^2 \right \} \\ &= \frac{1}{(2\pi)^{n/2}}\exp\left \{-\frac{1}{2}\sum_{i=1}^n \left (X_i-\bar{X} \right )^2 \right \}\ \exp\left \{ -\frac{n}{2} \left (\bar{X}-\theta \right )^2 \right \} \end{align*} \]


演習問題


応用問題


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