主成分軸の回転( 直交回転 )     Last modified: May 16, 2002

 主成分の解釈を容易にするために主成分軸の回転を行うことができる。

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図 1.回転前の因子負荷量

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図 2.回転後の因子負荷量


 主成分軸の回転は以下のように行う。

  1. 回転前および回転後の因子負荷量行列を $\mathbf{A}$,$\mathbf{B}$( $p \times m$ 行列 ),回転行列を $\mathbf{T}$( $m \times m$ 行列 )とすると,両者の関係は次式で表される。

    \[ \mathbf{B} = \mathbf{A}\mathbf{T} \]

  2. 回転後の因子負荷量行列 $\mathbf{B}$において,共通性

    \[ h_j^2 = \sum_{k=1}^m b_{jk}^2 \] で因子負荷量を基準化したものを

    \[ q_{ij} = \frac{b_{ij}}{h_j} \] とする。

  3. 全要素について,オーソマックス基準

    \[ c = \sum_{k=1}^m \sum_{j=1}^p q_{jk}^4 - \frac{w}{p} \sum_{k=1}^m \left ( \sum_{j=1}^p q_{jk}^2 \right )^2 \] を最大にすることができる。

    $w$ のとる値によって特性の異なる因子負荷量行列が得られる。

    \[ w = \left \{ \begin{align*} 1, &  バリマックス回転 \\[5pt] 0.5, &  バイコーティマックス回転 \\[5pt] 0, &  コーティマックス回転 \\[5pt] \displaystyle \frac{m}{2}, &  エクィマックス回転 \end{align*} \right . \]

  4. $c$ を最大化するような回転行列 $\mathbf{T}$ は反復的に求める。

    1. $m$ 個の主成分から 2 個( $k$,$k'$ )を選び,その平面内で $c$ を最大化する回転行列 $\mathbf{T}_{kk'}$ を求める。

    2. 主成分 $k$ と $k'$ の平面内で角度 $\theta$ だけ回転させるときの回転行列は,対角成分が 1,他の成分が 0 の $m \times m$ 単位正方行列の 4 つの要素を( 1 )式としたものである。

      \[ \left \{ \begin{array}{l} t_{kk} = \cos \theta \\[5pt] t_{kk'} = -\sin \theta \\[5pt] t_{k'k} = \sin \theta \\[5pt] t_{k'k'} = \cos \theta \tag{1} \end{array} \right . \] ただし,$\theta$ は( 2 )式を満たすものとする。 \[ \left \{ \begin{array}{l} \tan 4\ \theta = \displaystyle \frac{D-\displaystyle \frac{2\;A\;B}{p}}{C-\displaystyle \frac{A^2-B^2}{p}} \\[5pt] \left ( D-\displaystyle \frac{2\;A\;B}{p} \right ) \sin 4\ \theta > 0 \tag{2} \end{array} \right . \] ここで,$r_{j} = \displaystyle \frac{a_{jk}}{h_{j}}$,$s_{j} = \displaystyle \frac{a_{jk'}}{h_{j}}$ として,

      \[ \left \{ \begin{align*} A &= \displaystyle \sum_{j=1}^p (r_j^2-s_j^2) \\[5pt] B &= 2\displaystyle \sum_{j=1}^p r_j\ s_j \\[5pt] C &= \displaystyle \sum_{j=1}^p (r_j^4+s_j^4-6r_j^2\ s_j^2) \\[5pt] D &= 4\displaystyle \sum_{j=1}^p r_j\ s_j\ (r_j^2-s_j^2) \end{align*} \right . \]

    3. $m$ 個の主成分から 2 個を選ぶ $\displaystyle \frac{m\ ( m - 1 ) } { 2 }$ 通りについて同様に回転を行う。

  5. このようなサイクルを繰り返すと $c$ は一定の最大値に近づき収束する。

  6. 施された回転は,各回転行列の積である。


演習問題


応用問題


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