偏相関係数の検定 Last modified: Sep 17, 2002
例題:
「標本の大きさが 24 で,3 個の変数を固定したとき,変数 X と変数 Y の偏相関係数は 0.263 であった。母偏相関係数が 0 であるかどうか検定しなさい。」
検定手順:
以下の検定は,ピアソンの積率相関係数に基づく偏相関係数,および,スピアマンの順位相関係数に基づく偏順位相関係数の場合に適用できる。
ケンドールの順位相関係数に基づく偏順位相関係数については,その標本分布が明らかになっていないので,検定はできない。
- 前提
- 帰無仮説 $H_0$:「母偏相関係数 $= 0$」。
- 対立仮説 $H_1$:「母偏相関係数 $\ne 0$」。
- 有意水準 $\alpha$ で両側検定を行う(片側検定も定義できる)。
- 標本の大きさ(データの組数)を $n$,固定する変数の個数を $q$,標本偏相関係数を $r_{xy\cdot q}$ とする(このような偏相関係数を「$q$ 次のオーダーの偏相関係数」という)。
例題では,$n = 24$,$q = 3$,$r_{xy\cdot q} = 0.263$ である。
- 次式で検定統計量 $t_{0}$ を計算する。
\[
t_0 = \frac{\left|\,r_{xy\cdot q}\,\right| \ \sqrt{n-q-2}} {\sqrt{1-r_{xy\cdot q}^2}}
\]
例題では,$t_{0} = 1.18822074$ となる。
- $t_{0}$ は,自由度が $n - q - 2$ の $t$ 分布に従う。
例題では,自由度は $19$ になる。
- 有意確率を $P = \Pr\{|t|\geqq t_{0}\}$ とする。
$t$ 分布表,または$t$ 分布の両側確率の計算を参照すること。
例題では,自由度 $19$ の $t$ 分布において,$\Pr\{|t|\geqq 2.093\}= 0.05$ であるから,$P = \Pr\{|t|\geqq 1.18822074\}\gt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.24938747$)。
- 帰無仮説の採否を決める。
- $P \gt \alpha$ のとき,帰無仮説は棄却できない。「母偏相関係数が $0$ でないとはいえない」。
- $P \leqq \alpha$ のとき,帰無仮説を棄却する。「母偏相関係数は $0$ ではない」。
例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \gt \alpha$ であるから,帰無仮説は棄却できない。すなわち,「母偏相関係数が $0$ でないとはいえない」。
演習問題:
応用問題:
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