例題:
「ある製造ラインから製造される製品 10 個の重量を測定したとき,標本不偏分散が 4.5 であった。正常な場合には分散(母分散)は 2.1 であることがわかっている。現在の製造ラインは正常であるといえるだろうか。有意水準 5% で検定を行いなさい。」
検定手順:
母分散が $\sigma^2_0$ の正規母集団から抽出された $n$ ケースの不偏分散を $U$ とすると,次式の $\chi^2_0$ は,自由度が $n - 1$ の $\chi^2$ 分布に従う。
\[
\chi_0^2 = \frac{\displaystyle \sum_{i=1}^n (X_i-\bar{X})^2}{\sigma_0^2} = \frac{(n-1)U}{\sigma_0^2}
\]
例題では母平均が与えられていないので,こちらの計算式を使うことになる。
$\chi^2_0 = ( 10 - 1 ) \cdot 4.5\ /\ 2.1 = 19.285714$ である。
母平均が $\mu$,母分散が $\sigma^2_0$ の正規母集団からケース数 $n$ の標本が抽出されたとき,次式の $\chi^2_0$ は,自由度が $n$ の $\chi^2$ 分布に従う。
\[ \chi_0^2 = \frac{\displaystyle \sum_{i=1}^n (X_i-\mu)^2}{\sigma_0^2} \]
$p = \Pr\{\chi^2 \geqq \chi^2_0\}$ として,
$\chi^2$分布の上側確率の計算を参照すること。
例題では,自由度 $9$ の $\chi^2$ 分布において,$P = 2 \times \Pr\{\chi^2 \geqq 19.285714\}= 2 \times 0.0228702 = 0.0457404$ である。
例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P < \alpha$ であるから,帰無仮説を棄却する。すなわち,「母分散は $2.1$ とは異なる」といえる。
演習問題:
「被検者 10 人に対して,新しい方法で授業を行った後で試験を行った結果が表 1 のようになった。従来の方法で授業を行った後での試験の成績は,平均値が 72.3 点,分散が 54.6 であることがわかっている。新しい授業は母分散を変化させたと言えるだろうか。有意水準 5% で検定を行いなさい。」
73, 76, 74, 72, 81, 74, 66, 73, 73, 77 |
問題1 帰無仮説はどれか。a,b,c,d のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題2 どちらの計算式を使うか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。問題3 $\chi^2$ 検定統計量を求め,小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題4 求められた $\chi^2$ 検定統計量は,自由度いくつの $\chi^2$ 分布に従うか,答えを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題5 有意確率を求め,小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題6 有意水準 5% で検定を行うとき,帰無仮説は棄却できるかできないか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題7 最終的な結論はどうなるか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
応用問題: