ある事象 $X_i$ の起きる確率を $p_i$ とする($i=1, 2, \dots, m;\ \sum p_i=1$)。例えば,くじ引きで,1 等 10000 円は $p_1=\displaystyle \frac{1}{10}$,2 等 1000 円は $p_2=\displaystyle \frac{2}{10}$,3 等 100 円は $p_3=\displaystyle \frac{3}{10}$,4 等 50 円は $p_4=\displaystyle \frac{4}{10}$ の確率であるとするとき,このくじを 1 回引いて得られる賞金は,$10000\displaystyle \frac{1}{10}+1000\frac{2}{10}+100\frac{3}{10}+50\frac{4}{10}=1250$ 円である。この 1250 円はくじ引きによって「平均して期待できる」賞金である。これを期待値と呼ぶ。期待値とは,この例のような離散分布における平均値でもある。連続分布の場合にも積分によって同様なことが導かれる。別の例では,ある標本がある特性を持つか持たないかの 2 通りであるとき,すなわち母比率が $p$ の母集団から $n$ ケースの標本を抽出したときに,標本中で特性を持つものの期待値は $n\ p$ である。