モデルによってリスクアセスメントを行うにあたって留意すべき事項     Last modified: May 15, 2002

  1. デルの中には特定の発癌メカニズムを仮定したものがある。明らかに発癌メカニズムの異なる化学物質においては適用すべきでないモデルもあろう。但し現時点では,発癌メカニズムの知られている化学物質の方がまれであり,このようなことは例外的かも知れない。Pharmacokinetic model では,実際の動物実験により発癌率とは別種の,薬動力学的パラメータを推定・決定しなければならない。

  2. 図 8 のように,実験用量の範囲内では同じようにあてはまっていても,どのモデルを採用したかによって,得られる VSD は大きく異なる。一般に,プロビットモデルは最も緩い VSD を与え,次いで,ロジットモデル,マルチヒットモデル,ワイブルモデル,マルチステージモデルとなり,ワンヒットモデル( 直線外挿 )は最もきびしい VSD を与える( 図 9 参照 )。マンテル・ブライアン法による VSD はマルチステージモデルよりは厳しく,ワンヒットモデルよりは緩い。これらの用量 - 反応モデルのいずれを採用すべきかは,単に統計学的見地からは決定し難い。

  3. 高濃度領域から低濃度領域への外挿,動物からヒトへの外挿,と二段階の外挿が伴う。後者の場合にも種々の問題が含まれる。

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図 8.実験領域における各モデルの用量 - 反応曲線

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図 9.低用量領域へ外挿したときの各モデルの用量 - 反応曲線


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