問:研究対象者を 2 種類の治療法に割り付ける実験計画を立てた。ある患者は割り付け後に,実際の治療が開始される前に死亡した。この患者を分析に含めたほうがよいのだろうか,含めないほうがよいのであろうか。
 中には,「含めないほうがよいに決っている」と頭から信じ切って,このような疑問を持たない研究者もいるかもしれません。しかし,本当は含めなければならないのです。もし,一部の患者が非常に速い転機を示す場合,その危機を乗越えて実際の治療が施された患者の生存率を求めても,それはその疾患の患者全体の生存率を代表しません。全ての症例は,治療開始時点ではなく,割り付けが行われた時点で登録しなければなりません(生存時間は割り付け時点から測られなければなりません)。
 この他にも,薬剤治療などで治療に反応しなかった例,術式による生存率の比較の場合の手術死亡,割り付け後種々の原因で実際には治療が行われなかった例なども分析に含めなければなりません。また,途中で治療法が変更になった場合にも,そのような患者は最初の割り付け群の構成員として分析されなければなりません。
Last modified: May 15, 2002

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