問:観察期間中の死亡原因が複数個ある。例えば,胃癌の治療効果を判定する研究で,ある患者が観察開始から 2 年後に脳卒中を起こして死亡した。
このケースはどのように扱うのがよいのだろうか。
このようなケースを捨てるのは,はなはだもったいない。少なくとも 2 年間は胃癌によっては死亡しなかったのですから。
Cutler-Edere 法や Kaplan-Meier 法では,生存のまま研究期間を終えるケースも観察期間の途中で追跡不能になったケースも同等に扱います。明らかに研究対象としている死因以外で死亡した患者は,あたかも死亡時点で「脱落」したかのように,「生存打ち切りデータ」とするわけです。すなわち,対象としている死因では死ななかったと解釈するわけです。
なお,Chiang の方法では,複数の競合する死亡原因を考慮して分析が行えるので,研究対象以外の死亡原因で死亡するケースが多い場合には,Chiang の方法を採用したほうがよいでしょう。ただし,死亡原因をあまりにも細分しすぎるのはよくありません。各死因による死亡数が少なくなりすぎるし,研究対象としている死因が遠因をなしているようなものは区別すべきではないでしょう。
Last modified: May 15, 2002
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