女児出産ラッシュ?     Last modified: May 15, 2002
パソコン職場「女児出産ラッシュ」の真相
     (サンデー毎日 1996年11/3号)

 1996 年 10 月 21 日の朝刊の広告欄で,こういう見出があった。「またやっとるわい」と思い,その記事を読んでみると,以下のような内容。

 総合家電メーカ開発部門で,ここ 3 年間に職場の男性が授かった子供 20 人のうち,14 人が女の子であった。パソコンから出ている電磁波のせいじゃないか...
 で,「実に 70% が女の子」と強調(驚愕?)しているのだ。しかし,男児:女児の出生比率を面倒くさいから 0.5 として,二項分布の確率を求めると,女児の比率が 70% 以上になるような事象は 5.8% の確率で生じる。統計学的には片側検定でも帰無仮説(男女比は 1:1)は採択される( p = 0.05766)。両側検定では無論,帰無仮説採択( p = 0.11532)。

 もう一つのデータとして,挙げてあるのは,

 強い磁場を扱う研究をしている男性研究者の妻が出産した 140 人の子供のうち,男児は 67 人,女児は 73 人で,全国平均の「男児:女児=1.06 : 1.00」と逆転していた。
こっちの方はもっと P 値が大きい!( P = Prob{女児 ≧ 73} = 0.22134) ほとんど誤差範囲!! P 値なんて計算しなくても,男児の期待出生数が 72 人で,実際は 67 人だったというだけ。誘導的な記事がなければ,常識人なら誤差範囲とみなすだろう。

 著作権の関連もあるので,詳しくは書けないが,読めば読むほど笑える(嗤える)記事である。

20 人の赤ん坊が生まれたとき,女の子が n 人である確率
女児数 確率 累積確率
0 0.00000 0.00000 1.00000
1 0.00002 0.00002 1.00000
2 0.00018 0.00020 0.99998
3 0.00109 0.00129 0.99980
4 0.00462 0.00591 0.99871
5 0.01479 0.02069 0.99409
6 0.03696 0.05766 0.97931
7 0.07393 0.13159 0.94234
8 0.12013 0.25172 0.86841
9 0.16018 0.41190 0.74828
10 0.17620 0.58810 0.58810
11 0.16018 0.74828 0.41190
12 0.12013 0.86841 0.25172
13 0.07393 0.94234 0.13159
14 0.03696 0.97931 0.05766
15 0.01479 0.99409 0.02069
16 0.00462 0.99871 0.00591
17 0.00109 0.99980 0.00129
18 0.00018 0.99998 0.00020
19 0.00002 1.00000 0.00002
20 0.00000 1.00000 0.00000
合計 1.00000


電磁波とがん発生の因果関係確認できず
全米科学アカデミー報告
1996 年 11 月 1 日 毎日新聞 夕刊

要約

 高圧送電線や家庭用電気製品(ヘアドライヤー,電子レンジ,コンピュータ端末など)から出る電磁波による健康被害の有無について,全米科学アカデミーの研究評議会は 31 日「がん,生殖機能障害,発育障害など健康被害に結びつく因果関係は確認できなかった(科学的に証明する根拠は見つからなかった)」とする報告書を発表した。
 全米科学アカデミーの研究評議会特別委員会の 16 人の専門家が 17 年以上にわたり,関係する 500 以上の研究論文を検討した。


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