問:統計解析プログラムの結果の出力中の数値は有効桁数が多いのですが,論文に引用するときはどのようにしたらよいのですか。
結果の出力は小数点以下かなりの桁数まで表示されますが,論文などに引用する場合には示された桁数を全て用いる必要はありません。むしろ,以下のように丸めた数値を引用しなければなりません。
- 平均値,中央値など分布の位置を表わす統計量は「もとの測定データの精度+ 1 桁」で十分です。例えば身長が 0.1 cm の精度で測定されているならば,平均値はせいぜい小数点以下 2 桁でよい。(せいぜい,というくらいだから,この場合は小数点以下 1 桁でもよいということ。)
- 標準偏差は余分に 1 桁(すなわち,上述の例では小数点以下 3 桁)必要かもしれない。平均値と同じ精度の方がいいかも知れません。
- 比率をパーセントで表わす場合には,小数点以下 1 桁で十分です。ケース数が 100 以下の場合には小数点以下の情報は不要です。
- 相関係数,因子負荷量などは小数点以下 3 桁で十分です(場合によっては,小数点以下 2 桁でもよい)。
- Z 値,カイ二乗値,t 値,F 値などの検定統計量は,よく使用される統計数値表の桁数に従えばよいでしょう。例えば,多くのカイ二乗表や t 表は小数点以下3 桁で用意されています。しかし,数値表は,帰無仮説を採択するか棄却するかを決めるために小数点以下 3 桁(以上)の精度で用意してあるので,検定結果を述べるためには小数点以下 2 桁程度でもかまいません。
- 有意確率(P 値)は有効桁 2 桁でよい。また,0.001 以下の場合には正確な数値を示す意味はほとんどないので,「P<0.001」のようにしたほうがよいでしょう。
- 偏回帰係数,判別係数,数量化理論におけるカテゴリースコアなどは,有効桁 4 桁程度でよいでしょう。
結論としては,常に元のデータの測定精度と慣例的に用いられている精度に従って記述するようにしてください。
Last modified: May 15, 2002
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